くどいようだけど、九州シリーズでもうひとつ。門司港駅に降り立ったとき、偶然見つけたジョルジュ・ルオーの大回顧展。出光美術館(門司)で前日より開催されていた。
まさか、北九州に来て、ルオーの作品を多数見ることができるなんて!出光興産の創始者である出光佐三は、主に日本画を始めとする東洋美術を集めていたが、ルオーの絵に出会い、江戸時代の禅僧:仙がい義梵(せんがいぎぼん)の絵と共通するものを感じた。それが、ルオー作品を蒐集するきっかけとなったらしい。
中期以降は太い輪郭線と絵の具を重ねてキャンバス上に盛り上がったマティエールが特徴。実物を見るとかなりのインパクトがある。今回の大回顧展では、キリスト最後の日を描いた連作の油彩画「受難」のほぼ全容を見ることができる。
僕が気に入ったのは、「優しい女」という題の絵。
宗教的モチーフが多い中では異色の作品。目を閉じたたま微笑んでいる女性に、無限の赦しを与えられるような気がする。
これだけのルオー作品を一度に見られる機会はあまりない。6月14日まで開催されているので、GWあたりに足を伸ばしてみてはいかが?