だいたい、地元で開かれている展覧会には会期ぎりぎりに行くので、あんまり紹介にもならないんだけど(笑)、最終日に岡山県立美術館で開かれている「ターナーから印象派へ」に行ってきた。
学生時代にヨーロッパを旅したとき、大陸側をあちこち廻ってからドーバー海峡を夜間フェリーで渡ってイギリスに入った。当時、英仏海峡トンネルは開通してなかったしね。ロンドンに入って、大英博物館、ナショナル・ギャラリーと見て、最後に訪れたのがテート・ギャラリー。ここにはJMWターナーの作品が沢山あって、このときの印象は波と風。イギリス特有のどんよりとした曇り空にほんのり光が射し、高波の中に船が漕ぎだすといったもの。
今から考えると、そんなに暗い絵ばかりじゃなかったはずなのに、フランスのカレー港を夜出発して、悪天候の中かなり船が揺れた記憶と、テートで見たターナーの絵が僕の中で重なっていたからかもしれない。
今回の展覧会も、風景画に関しては色遣いが暗め。イギリスの風景を忠実に描くとそうなるんだろうけど。僕の前を歩いていたおじさんは、最後の方の比較的明るい色彩の絵を見て、「ようやく日が射してきたな・・」ってつぶやいていたからね(笑)。
印象派につながる絵画の中で気に入ったのはこれ。ジョージ・クラウセンの「春の朝」。
まるで映画の1シーンみたな構図で、1881年の作品。街の風景を見る人間の方はあんまり変わらないってことかな。128年前の絵に親近感を覚えるなんてね。