今日で東日本大震災から3年が経過した。ちょうど午前の外来診療が済んだ後だったので、午後2時46分に黙祷を捧げてから、午後の手術へと向かった。あれからもう3年経ったのか・・いや、まだ3年しか経ってないのか・・と考えを巡らせながら。
震災直後に被災地へ医療支援に行った経験が、その後の自分に大きな影響を与えた。職業柄、生死の境目で日々仕事をしているんだけど、そういう僕でさえ、あの時に感じた何とも言えない虚しさと圧迫感を、自分の中できちんと受けとめていくのは難しかった。普段は慣れ親しんでいる自然が、ある日突然人間に対して牙を剥いてくる恐ろしさ。為す術もなく、多くの人々が命を落とした信じたくもない現実。
当時の記録「ミッションday2」を読み返してみると、個人的な感情はできるだけ抑えて、メディアとかにはなかなか語られることのない被災地の現状を、努めて冷静かつ客観的に報告しようとしていたんだなと思う。絶望的な状況の中でも、人は前向きに生きていくものなのだと。
上の写真の如く、避難所だった小学校の音楽室が臨時の診療所となった。僕が診察しているすぐ目の前に、蓋の閉じられたグランドピアノが置いてあった。これは何かの縁だったのかどうかはわからない。しかし、医者としての仕事は勿論だけど、音楽においても震災を通じて感じたことが大きなテーマとなっている。僕はずっとこだわってきたし、たぶん今後もそうし続けていくと思う。大きな哀しみを抱えつつ、未来への希望を見出していくという作業を。