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盟三五大切〜渋谷・コクーン歌舞伎


 6月6日から始まった渋谷・コクーン歌舞伎。かれこれ17年目になるそうで、今回は鶴屋南北「盟三五大切」(かみかけて さんごたいせつ)の再演。東銀座の歌舞伎座は建て替え工事のため閉鎖されており、斬新な演出で定評のあるコクーン歌舞伎を観たことがなかったのもあって渋谷まで出かけてみた。
 オーチャードホールやル・シネマなども入っている複合文化施設Bunkamura」。シアターコクーン内に入ってみると、演劇に適したコンパクトな作り。舞台前方には座布団を敷いた平場の席が用意されていて、昔の歌舞伎小屋を模したような雰囲気。舞台袖にはちゃんとお囃子をする人たちもいるんだけど、BGMとしては無伴奏チェロが流れたりして現代劇的なニュアンスも。
 筋立てとしては「忠臣蔵」の外伝で、江戸時代の主従関係に縛られつつ、男女関係のもつれで刃傷沙汰になってしまうというなかなかシュールなもの。元々のストーリーが現代にも通ずる内容だし、串田和美の演出は人物描写に優れていて、あっという間に舞台の世界へと釣り込まれる。通常なら否が応でも時代性を感じさせられるセリフの喋り方、立ち回りなど歌舞伎独特の様式美が、逆に陰惨な場面をよりリアルに具現化しており、まるで人が変わったかのように殺人に及んでしまう中村橋之助の演技は壮絶としか言いようがない。芸者役の尾上菊之助は愛くるしいし、詐欺まがいの悪行を働く中村勘太郎は、こういう憎めないやつっているんだよねって感じ。現代的なスタイルで演出されるからこそ、役者として歌舞伎役者の持つ底力を改めて思い知った。そして、舞台に異なる味付けをしているのが、笹野高史木村拓哉主演「武士の一分」(敵役は坂東三津五郎こちらもよかった)でもいい味出してたけど、歌舞伎役者に囲まれていても独特の存在感あり。演出かアドリブかはわからないけど、大いに場内を沸かせてくれた。
 2幕もので上演には約3時間かかるんだけど、クライマックスでは本物の水が舞台へと落ちてくるコクーン歌舞伎特有の演出など、飽きさせない仕掛けが随所に用意されている。次回は少々水をかぶってもいいから、舞台に近い平場席で是非見てみたい。すっかり、コクーン歌舞伎のファンになってしまったので!