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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

大阪平成中村座へ  

 いつも一人であちこち楽しんでいるように思われるかもしれないけど、ちゃんと仕事をした後のご褒美的な位置づけなのでご容赦を〜(笑)。
 京都に行ったついでに「大阪平成中村座」を観劇。前回、浅草で中村座公演を観たのが3年前。その後、十八世中村勘三郎さんが逝去され、江戸時代の芝居小屋を模した独特の空間で演じられる歌舞伎を観ることはできなかったんだけど、今年の春に浅草寺の境内で「平成中村座」が復活。この時は残念ながら行けなかったので、5年ぶりに大阪へ帰ってきた「大阪平成中村座」を知ったときには、よっしゃ〜!と秘かにガッツポーズ(笑)。
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 でもね、既にチケットは発売とともに殆どソールドアウト(涙)。まあ、どうせダメだろうなあ・・・と思いながら、僕の行ける日を一応探してみると、何と1階平場の松席、前から5列目のほぼ舞台正面が一つだけ空いてた!ラッキー!ともう一度心のなかでガッツポーズ(笑)。で、いよいよ当日となり、わくわくしながら出かけてみた。
 浅草の中村座は、銀座線浅草駅から吾妻橋のたもとまで歩いてすぐだったんだけど、大阪平成中村座大阪城公園西の丸広場に設営されてて、最寄り駅の地下鉄谷町4丁目駅から歩いて20分ほどかかる。おまけに夕方になって冷え込んできたものだから、結構キツかった〜
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 こういう案内板があるところからも、まだまだ歩いてようやく受付まで到着。
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 既に行列ができており、しばし待って中へ。
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 うん、この雰囲気。まさに中村座だ〜(^^)。ビールとお弁当を購入した後、入り口で靴を脱いで、いざ中へ。
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 えーっと、平場の席ってどこかなあ?と探しつつ前方へ。あった〜ステージ正面に座椅子が並んでいて、そこに席番号が書いてある。そこによっこらしょと腰を降ろし、背後を振り返ると・・・
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 こんな感じ。舞台にも近いし、椅子席に比べると臨場感抜群。まさに江戸時代の歌舞伎小屋で観ている感じね。ただ、僕の周りには恐らく会社の社長さん(いわゆるタニマチ)とか、そのお連れで着物姿の女性(たぶん夜の世界の方)が沢山居て、ちょっと場違い感が漂う(笑)。
 夜の部一幕目は義太夫狂言「俊寛」。舞台右手上方に長唄と三味線のお囃子が陣取り、この口上に沿って進行する。昔の言葉で朗々と語られるから、全ての内容を理解することは困難だけど、あらすじを知っていれば内容を把握することは可能。これに合わせて、俊寛(中村橋之助)を巡る物語が進行していく。単純に感想を言わせてもらうと、凄い!の一言。場内に響き渡る生の声、そして役者さんの所作や動きが手に取るようにわかり、歌舞伎の伝統に基づいた表現力に圧倒された。最後の場面、船が出港して一人残される俊寛が、都を恋しく思い悲嘆にくれつつ、無念な思いと自らへの腹立ちなど、様々な気持ちを表出しながら苦悶するシーンは圧巻。ああ、いいものを観ることができたと感動。
 第二幕目は谷崎潤一郎作の「盲目物語」。大阪城ならではの演目で、太閤秀吉とお市の方淀君を中心に据えて、盲目の按摩師:弥市と、秀吉を一人二役勘九郎が演ずるというもの。こちらは、現代の言葉で語られるので、普通の演劇と同じ感覚で観られる。全体に静かな調子で話が進み、二役の勘九郎中村扇雀お市中村七之助淀君といったキャストがじんわり魅せてくれるところに、歌舞伎特有のケレンがあったりして、静と動の対比が素晴らしい。幕間では、会場のあちらこちらから、「本当に、お父さんに似てきたわよね〜」との声が聞こえてくる。僕は勘九郎が結構好きなんだけど、観る毎に演技力がアップしてるように思う。舞台最後には、中村座恒例の演出、後ろの扉が開き、目に入ってくるのは勿論・・・
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 ライトアップされた大阪城天守閣。これを借景にしての素晴らしい演出で、あの時代にタイムスリップしたかと思うほど。。本当に、浪速のことも夢のまた夢って。
 千秋楽は11月26日、まだわずかにチケットは残っているようなので、興味ある方はどうぞ〜(^^)