昨年末、J-WAVEの「JAM THE WORLD」に「ユナイテッドピープル」代表の関根健次さんが出演していた。1クリックで募金ができるイーココロなどを開発し、ITを利用したソーシャルビジネスを展開していたが、会社そのものを千葉県の房総半島南部に位置するいすみ市へ移転させ、そこで農業を営みつつ仕事をしているとのこと。半農半X的なライフスタイルもさることながら、番組で紹介していた「幸せの経済学」という映画に興味を抱いた。言語学者のヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんが監督したもので、経済のグローバリゼーション化による様々なマイナス面を克服するために、ローカリゼーションという概念を提唱している。
日本においても、地方より中央、そして世界へ・・という拡大志向は根強くあり、経済成長し続けることで社会的問題を解決できるという観念が支配的だった。ただ、東日本大震災やタイの洪水といった天災を経験した後、都市化された社会において様々な無駄が潜んでいることに多くの人が気づいたと思う。東京の電力需要を担うために遠く離れた福島や新潟に原発があり、主要な工業製品を構成する重要な部品が国外で生産されている。国内・国外問わずグローバルな経済活動が展開されており、我々にとっては一見便利な世の中に見えるものの、一旦何らかのトラブルが発生して流通がストップしてしまうと、たちまち生活に支障をきたしてしまうのだ。
だからこそ、インフラの整備は必要だし、そのためにより多くのエネルギーが必要なんだ・・と短絡的に考える前に、もっと身近にできることがあるのでは?それがグローバリゼーションの対極にあるローカリゼーションだ。自分たちが使うエネルギーは知恵を絞って地元で調達する、それで足らなければ皆で節約をする、食料はできるだけ地産地消で流通コストを下げ、冬場にハウス栽培した夏野菜や果物をわざわざ食べることはない、季節のものはその季節ごとに味わう。古来、日本人が営んできた生活を思い出せば、いくらでもアイデアが浮かぶはず。
この「いよいよローカルの時代」はヘレナさんと文化人類学者の辻信一さんとの対談形式で構成され、わかりやすくローカリゼーションという概念を解説してくれている。グローバル化したIT技術のおかげで、より局地的なローカリゼーションの動きが進むようになっていくのも、ちょっと逆説的で面白いのかなとも思う。いずれにせよ、僕自身もちょっとしたアイデアを自分なりに実行していくつもり。