横浜出張シリーズ,もうちょっとネタがあるんですよ.六本木のジャズライブハウス「alfie」には行ったわけなんですが,最近の六本木というと二つニュースがありますよね.一つは,国立新美術館で,もう一つは東京ミッドタウンです.基本的に新しもの好きなので,学会が終わってからちらっと覗いてきました.
国立新美術館は,先の東京都知事選挙でも話題になった建築家の黒川紀章さんが設計デザインした建物で,入り口の波打つような曲面が印象的です.
周囲には沢山の緑があり,中に入ると広くて明るいアトリウムが広がり,すぐにカフェがあるんですね.カフェの前に並べられた椅子にこしかけると,差し込む光の中で外の緑を眺められるといった環境で,ここでお茶だけしててもいいような感じでした.
建築を見てみたいというのもあったのですが,お目当ては「モネ展」だったんですね.世界の美術館からモネの作品を集めた「MONET大回顧展」,これは全く名前負けしていない,多くのモネ作品が本当に世界中から集合してましたね.元々,僕は美術館巡りが好きで,ヨーロッパの主要な美術館はほとんど制覇してます(ちょっと自慢(笑)).その中でも特に印象派が好きで,ゴーギャン,ゴッホ,モネがお気に入りなんです.
モネというと睡蓮の連作が有名ですよね.(これは大原美術館所蔵の作品から転用してます.)
以前に,大原美術館の館長さんの講演を聴いたことがあるのですが,印象派の画家たちはどのように光を画面に表現するかということに心をくだいていたんですね.光の3原色というと赤・緑・青で,これが全部集まると白色になります.絵の具の場合は赤・青・黄色の3つを混ぜ合わせて色々な色ができるわけですが,ご存じのとおり全部混ぜると逆に黒くなります.だから,油絵でも本当の色に近づけようと絵の具を重ねれば重ねるほど画面が暗くなってしまうそうです.どうやって,日の光に照らされた明るい風景を描くか,そのために考え出されたのが色彩分割で,太陽の光を校正する7色(虹の色ですね)を混ぜずに画面に描くといった方法です.
モネもこの方法を利用しており,実際の絵を近くで見ると様々な色が画面にちりばめてあるのがわかります.画集とかだと絵を見ている視点の位置が固定されてしまいますよね.作品を間近に見ると,微妙な色使い,そして絵の具がキャンバスから少し盛り上がっていたりして筆のタッチもリアルにわかります.
今回,自分にとって発見だったのは,モネの描いた白の美しさでした.どうしても「睡蓮」のイメージが強くて緑などの中間色を多用しているように考えてしまうのですが,「かささぎ」という作品は雪景色を描いていて,雪の白さをすごく上手く表現しているんですよ.雪景色の中の光と影がたわむれている感じですね.白っていう色は,画家にとってみれば色がないことであって,音楽で言えば音のない状態に近いものかなとも思います.日本文化で言えば「間合い」にも通ずるものかとも思います.
こんな,色々なことを感じられる企画展なので,もし機会があれば是非見てみてください.7月2日までやってますから!