僕の目から見たOJF13 ジャズ・アンダー・ザ・スカイ vol.3。すなわち、OJF13バックヤード後記を。
皆さんもご承知のとおり、台風19号襲来のため連休中に予定されていた下石井3DAYSイベントは大きな影響を受けた。二日目のエンターテイメントチャレンジ決勝大会は西川アイプラザ内のホールで別途開催、三日目のガールズミュージックコレクションは中止に。
そのため、初日の段階で下石井3DAYS野外ステージでのイベントは我々OJFのジャズ・アンダー・ザ・スカイのみとなってしまった。そもそもイベント企画というものは多くの関係者が長い時間をかけて調整し、ようやく成り立つもの。そういう裏側を知るものとして、おかやま国際音楽祭関係者の心痛は察するに余りある。
ジャズ・アンダー・ザ・スカイ vol.3 も、企画が成立するまでには紆余曲折があった。2011〜12年と2年続けて開催された下石井3DAYSが昨年は中断。しかし、復活を望む声が各所に上がり、今年は2年ぶりに開催されることに。そして、半年前にOJFへ企画運営の依頼が届いた。2年前に企画した「宇崎竜童/国府弘子/フライド・プライド」に勝るとも劣らないようなキャスティングをと。
最初にそれを聞いたとき、正直言って僕はかなり困惑した。2年前は、期せずして3DAYSの最終日をOJFが担当したため、ビッグネームをブッキングするため懸命に奔走した。もし、一日開催日がずれていれば、宇崎さんとはスケジュールが合わなかったし。結果的に1000人超の聴衆が総立ちとなるほどの盛り上がりを見せたステージとなり、国府弘子/フライド・プライドの演奏力はもちろんだけど、宇崎竜童というスターが持つ力を改めて思い知らされた。そんなビッグステージをまた再現することができるのか?そのプレッシャーが否応なく肩にのしかかってきた。
いくつかの候補者を考えて業界関係者に当ってみたけど、なかなか色よい返事がない。ジャズというくくりの中でスター性があり、なおかつ真ん中にいてしっくりくる人はそうはいないから。そんな中、一人の名前が挙がった。それが、つのだ☆ひろ。前にも紹介したように、元々は渡辺貞夫バンドのドラマーというキャリアから出発しているジャズ畑の人。そして、R&Bからポップスまでドラムはもちろんのことボーカルもとれる。メリー・ジェーンという代表曲は知らない人がいない。まさにうってつけの人ではあるんだけど、あまりにも大御所すぎてブッキングできるかどうかはわからない。出演依頼交渉を始めた時はちょうど外国を廻る船旅に出ていて、なかなか連絡がつかない。最終的に衛星電話を介して出演承諾が得られたときは本当に嬉しかった!
メインがつのだ☆ひろになると決まったら、後はトントン拍子に。メインストリーム・ジャズを任せるのは矢野沙織、新しい感覚で若い世代にアピールする矢幅歩。そして、オープニングアクトは牧山純子と。
これだけのミュージシャンが揃った後に、ちゅうぎんまえジャズナイトのキャスティングを改めて考え、実力派ミュージシャンによるストレート・アヘッドなジャズを・・ということでEQ、皆が楽しめるニューオーリンズ・ジャズを・・ということでDrag On Jazz Bandにオファー。つまり、時間的には皆さんに聴いてもらったのとは逆の順番でキャスティングが決まっていったわけ。
なので、企画を考えた僕にとっては、OJF13への道はつのだ☆ひろから始まったようなもの。ある種恩人とも言える存在に、バックステージで談笑できる時が来ようとは・・・
まさに感無量の瞬間。つのだ☆ひろは、本当に暖かくて大きくて、いい人だった。彼の真骨頂が発揮されたのは全体セッション「Mercy Mercy Mercy」。今回のジャズ・アンダー・ザ・スカイ vol.3に参加したミュージシャンは総勢12名。その全てにスポットライトを当てるべく、彼が絶妙な采配を振る。不安そうな面持ちでいたミュージシャン達をまとめあげ、徐々に楽しい雰囲気に。圧巻はドラムチェンジ時。つのだ☆ひろがドラムを叩くのを止めた瞬間に、ボイスパーカッションの北村嘉一郎のソロパフォーマンスが始まる。その後、矢野バンドのドラマー竹田龍彦にチェンジし、つのだ☆ひろはステージ前方へ。そこで、改めて矢幅歩・矢野沙織と絡むという、これ以上ないお膳立て。
OJF企画のイベントはフェスティバル形式にて、ここでしか見られないステージ・キャスティングが特長。この全体セッションは、まさにその一期一会的なものであり、ジャズを中心に様々な音楽が出会うMusic Crossroadのスピリットが体現されたものだった。つのだ☆ひろを始めとする参加ミュージシャンには心からありがとうと御礼を言いたいし、イベントをサポートしてくれた関係者スタッフの皆様にも本当に感謝している。そして、最後まで席を立たずに聴いていただいたお客様にも。
また、次回のステージがあるのかなあ?と幾分プレッシャーに感じつつも(笑)。