未明より一日雨が降り続く。梅雨明けを前にして、最後の一雨。
うちの職場は建物全体が要塞のようになっていて、全く外界から隔絶されている。雷が鳴ろうが、台風が来ようが関係なし。入院している人にとってはこの上もなく安心な環境なんだろうけど、当直などでずっと屋内にいると通常の感覚が麻痺してくる。
ただ、一カ所だけ外の空気を吸えるところがある。別棟とをつなぐテラス通路。
安藤忠雄の出世作となった「住吉の長屋」は、部屋から部屋へ移動するのに一旦外(中庭)に出ないといけない構造になっている。
その中庭から入り込む自然を、厳しさを含めて受け止め、日々の生活の彩としていける強さが人間にはある
この通路には屋根があるものの、降り込んでくる雨に床は濡れ、通路を渡ると湿った風が顔をなでる。要塞の中で唯一自然の環境に触れられる場所。そのとき一瞬、雨を感じた。