tetsuyaota.net

the article is randomly updated

Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

マイケル・ブレッカー


 遅ればせながら,故マイケル・ブレッカーの遺作となったアルバム「PILGRIMAGE」(邦題:聖地への旅)を聴いた.以前はブレッカー・ブラザースが大好きだったし,現代のテナー・サックス奏者の中では,ウェイン・ショーターと並んでマイケルは僕のヒーローだったので,2007年1月の訃報を聴いた後,どうにも演奏を聴き直す気持ちにならなかった.

 ジャンルは違うが,QUEENのフレディー・マーキュリーが亡くなった後,残されたメンバーで録音された「Made in Heaven」を聴いたとき,本当にフレディーはいなくなったんだという喪失感にとらわれたのを覚えている.
 もっとも,あれから13年経ち,ホンダ「フィット」のCMで「It's a beautiful day〜」と歌うフレディーの声を聴くと,没後とはいえ後世にこの曲を残してくれてよかったと改めて思う.

 そんなある種の感慨を持って「PILGRIMAGE」を聴いてみると,いい意味で全く裏切られた感がある.白血病に侵され,決して体調万全ではなかっただろうに,そのような不安要素をまるで感じさせない力強い演奏だ.全曲マイケルのオリジナルで,曲の構成・アンサンブルなど,随所にらしさが見られる.ピアノは,ハービー・ハンコックブラッド・メルドーを交互に配し,ギターはパット・メセニー,ベースはジョン・パティトゥッチ,ドラムスはジャック・ディジョネットという,これ以上ないメンバー.マイケルの提示した新時代のジャズに触発され,各自素晴らしい演奏を披露している.

 期せずして「Made in Heaven」のジャケット写真もスイス,レマン湖畔の青色で満たされている.マイケルの「PILGRIMAGE」(巡礼の旅)も,同じように青に染まっているだろうか.