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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

庭のタイムマシン  

 母が亡くなってから2年数ヶ月。少しずつ実家の片付けを今も続けているんだけど、大変なのが庭の手入れ。父母二人が存命中は、木々の剪定や水やりは勿論のこと、週末になると芝生の刈りこみをしていた。僕が子供の頃、庭一面の芝生は転んでも怪我をしない格好の遊び場だった。昨年末のライブ時、下校後に学校近くの洞穴で生活してた・・と話して皆さんに笑われちゃったけど、父が所有していた昔ながらの三角形テントを実家の庭に張って、そこで暮らしてたこともある(笑)。まあ、日常的にアウトドアな生活があったから、大人になってからキャンプとか全然興味が湧かなかったけど。
 そんな芝生も、手入れがなかなか行き届かずだんだんと枯れてきたのと、雑草の温床になってきたため、数年前に思い切って処分した。芝生がなくなり、土が露出した庭を見ると残念な気持ちにはなったけど、他の木々を含めてきちんと管理していくためには致し方なかった。ただ、庭の端っこの方にはなかなか手が付けられず、春になると自然に様々な雑草が生い茂ってくる。
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 その中に、数本のアヤメが咲いている。恐らく、母が植えたものなのだろう。他にも今の季節には、サツキや白椿も花を咲かせていた。
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 時はいつのまにか過ぎていくけど、季節毎に花は咲き、それがまた繰り返されていく。ふと、東日本大震災の応援歌「花は咲く」の一節が頭に浮かんだ。「花は 花は 花は 咲く わたしは何を残しただろう」?
 その後も庭にしゃがみ込んだまま、雑草を抜いては根から土をふるい落とすという単純作業を延々と続けていく。午後の日射しが照りつける中、だんだんと何も考えなくなり、ひたすら草取りに没頭。1時間ほど経過し、そろそろしんどくなってきたな・・と腰を上げようとしたところ、地面に光るものを見つけた。あ、ビー玉だ・・・
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 子供の頃、芝生の上で転げまわって遊んでいた時に、たぶん僕が落としたものだろう。四十年以上の時を経て見つけたビー玉。妙に嬉しくなって、サツキの花びらを添えて写真を撮ってみた。ビー玉の表面はいささか汚れているけど、太陽の光が斑に反射して綺麗だった。この庭にはまだ色々なものが残っていて、それを僕が見つけてないだけなんだなと。ビー玉をそっと地面に置き、そこだけは雑草を残しておいた。