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特別展「写楽」@国立博物館/平成館

 もうひとつアートネタ。上野の国立博物館で開催されていた特別展「写楽」。浮世絵師として知らない人は恐らくいないであろう東洲斎写楽。実際に活動していたのは寛政6年(1794年)5月から10ヶ月程度。その素性は謎に包まれており、今でもミステリーの題材となるほど。今回は、写楽の描いたほとんど全ての作品をみられるという特別展。

 国立博物館の平成館は最も奥まったところにある。上野の森をてくてく歩いてようやく到着。写楽が活動したほんの10ヶ月を全部で四期に分けて、それぞれの特色を分かりやすく展示していた。一番有名なのは、歌舞伎役者の人物像を描いた第一期。お馴染みの絵も多いんだけど、写楽以前の絵師とどう違うのか、そして同じ歌舞伎役者を同時代の絵師はどう描いたか、並べて展示してあるため、写楽独特の画法がよくわかる。単純な線で構成されているのに、不思議とリアリティがあり、役者の内面までが克明に描き出されている。肖像画としては非常にいい出来栄えだと思うけど、今でいう芸能人ブロマイド的な役者絵としてはあまり評判がよくなかったらしい。恐らく、もっときれいに、格好良く描いてくれって注文をつけられただろうし。

 そういう背景を知りつつ二期以降の作品を見てみると、急速にテンションが下がっているように感じる。短期間に一瞬だけ才能が輝いたというよりは、時代のニーズに作品が合わなかったというべきか。写楽に影響を受けた絵師の作品も展示されていたけど、作風は似ているものの以て非なるものという印象。比べてみれば、まさに不世出の絵師だと再認識。写楽全作品のうち、4点だけ展示されてなかったけど、かなりのボリュームで十分満足のいくものだった。