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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

ノクターン


 時々、邦楽の中でこれは!という曲に出会う。僕が気に入ったからといって売れるわけじゃないけど、年に数回は買って聴いてみようと思う。
 昨日発売になった、平原綾香の「ノクターン」。木曜の夜に放映されている「風のガーデン」の主題歌だ。主人公の中井貴一は僕とほぼ同年代で、かつ同業者、彼が患っている死に到る病いは僕の専門領域という、なかなか身につまされるストーリー。
 最近の刺激的なドラマの中では、いささか古典的な展開ではあるけど、いつ自分の身に起こってもおかしくない苦しみ、そして人間なら誰しも陥りそうな過ちを自らの罪として真正面から受け止める主人公と、おそらくは彼を救済してくれるであろう富良野の自然とそこに暮らす人たち。人はどうしようもない辛い局面に直面すると、どこに還っていくのか?
 そして、番組ラストでフラッシュバック映像とともに、この「ノクターン」が流れる。ショパンの名曲をアレンジしたもので、テレビバージョンは全編マイナー調でどこまでも哀しみを誘うが、オリジナルバージョンでは中盤に少しほっとするようなメジャー調の部分が挿入されている。
 この曲自体が、哀しみ〜安らぎ〜絶望〜そして愛、そんな展開を予想させる。過ぎ去った過去、そして決して明るいとは言えない未来に、ロマンティシズムに耽溺しつつ思いを馳せる、まさにノクターン夜想曲という仕上がりになっていると思う。