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As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

昨夜のカレー、明日のパン  

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 本屋で見かけて、装丁とタイトルが何となく気になった本「昨夜のカレー、明日のパン」。夫婦脚本家の木皿泉藤子不二雄みたいに二人でやってる名前)が書き下ろした初めての小説だそうな。ちょっと立ち読みをしてみると、すごく読みやすい文体でさらーっとストーリーが入ってくる。で、断蜜のカレンダーは買わなかったけど(笑)、こちらはちゃんと買い求めた。
 7年前に結婚後2年で夫を亡くしたテツコと、ともに同居している義父(そのままギフと呼ばれる、後半で実名が判明)に纏わるストーリーが、他の魅力的な登場人物とともに語られる。時間軸の異なる短編映画を繋ぎあわせつつ、最終的にきちんと一つの物語になっているような味わい。立ち読みの時と同じく、その内容に引きこまれて、すぐに読了しちゃった。
 小説の根底に流れているのは「生と死」。どちらかというと重い背景であり、その事実を抱えて生きていかざるを得ない人々の姿を、温かい眼差しで描いている。第3章「山ガール」でギフが「オレたちってさ、生死を共にしてんだよなぁ」とさらっと語り、第7章「男子会」で「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」とも。
 押し付けがましくなく、ああそういうものだよなって素直に思わせてくれる。最終章を読んだ後に、もう一度最初から読みたくなる作品。そんな作者の意図へ冒頭写真は僕なりのオマージュ。ボンカレーヤマサキパンを添えて。別に昨晩ボンカレーで、明日ヤマサキパンを食べるわけじゃないんだけど(笑)。