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As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

中村勘三郎さん逝く  


 本日、先日亡くなられた中村勘三郎さんの密葬がとりおこなわれた。歌舞伎界の革命児として今後の活躍を期待されていた中で、突然の訃報。未だに信じられない思いだ。
 前にも書いたけど、最初に歌舞伎に興味を持ったのは今から20年くらい前で、社会人に成り立ての頃だった。当時の花形歌舞伎役者と言えば、市川團十郎尾上菊五郎松本幸四郎といった、今や重鎮とも言える面々。その中で、一際異彩を放っていたのが、当時の中村勘九郎(18代勘三郎)だ。重厚な古典歌舞伎が全盛だった時代に、歌舞伎というものは江戸時代の芝居小屋から発したもので、もっと猥雑で庶民的な演劇だとアピールし、その後のコクーン歌舞伎平成中村座、そして海外公演などへと発展させていった。
 この日曜日にNHKアーカイブス「さようなら中村勘三郎さん〜芸に生きた日々」が特別番組として放映され、録画したものを昨晩ようやく見たんだけど、改めてその活動の広さ、芸の深さに驚いた。特に、NHK大河ドラマ元禄繚乱」で大石内蔵助を演じ、有名な吉良邸討ち入り場面が流れたときには、何か胸に迫るものがあった。
 今年の4月、平成中村座「法界坊」が、僕にとって勘三郎さんの勇姿を見る最後になった。花道のすぐ脇の席だったので、勘三郎さんが出ていくときの荒い息づかい、そして力強く舞台を踏みしめていく足音が今も思い出される。
 最後に、NHK番組の中で、片岡仁左衛門がインタビューで答えていた言葉を紹介したい。「勘三郎さんは幸せだよ。あちらの世界には憧れていた役者さんが沢山揃っているんだもの。きっと、楽しくやってるんじゃないかなあ。今度は自分の方が兄さんって呼ばないといけなくなるね」。芸を極めてきた人だから言えること。本当にそうあってもらいたい。合掌。