久々にツタヤへ行ってみたものの、あまり見たいなと思えるようなものがない。せっかく来たんだから何かレンタルしてみようかと思って手にとったのが「アンストッパブル」。デンゼル・ワシントンとクリス・パイン主演の、実話に基づいたストーリー。話は比較的シンプルで、機関士のミスにより突然暴走を始めた無人貨物列車を、大惨事になる寸前で二人が止めるというもの。決してアクションものではないものの、暴走列車の迫り来る恐怖を秀逸なカメラワークで表現。文字通り、手に汗握る展開で画面から目が離せなくなる。
ただ、別にレンタルする前に意識したわけではないんだけど、今現実に起きている二つの事故が否が応でも連想される。ひとつは、東日本大震災における福島第一原発事故。普段はちゃんと操縦できている貨物列車が、ちょっとした人為的ミスにより制御不能な状態に。もう、こうなると人間が作ったものでありながら、人間の力の及ばない怪物になってしまう。そして、それを何とか解決に導くのはマニュアルに基づいた組織的対応ではなく、鉄道マンとしての長い経験を有する機関士（デンゼル・ワシントン）と危険を承知で問題解決に挑む車掌（クリス・パイン）の個の力。福島第一原発事故後の対応も同じようなもので、自衛隊や消防などの英雄的な働きにより緊急事態が回避されたのは記憶に新しい。
そして、もうひとつは中国の高速鉄道事故。こちらの真相はいまだ闇の中だけど、事故を防ぐ組織的対応や、それを補う現場の対応どちらもが期待薄。原因究明する間もなく運行が開始されるなど、とにかくアンストッパブルな状態だ。
結局、暴走するのもさせるのも人間、それを止めるのも人間。まさにこの世界は輪廻応報。でも、こんなこと考えなくても映画自体は純粋に楽しめるので。
