tetsuyaota.net

the article is randomly updated

Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

ダンシング・チャップリン


 週末に、以前から気になっていた映画「ダンシング・チャップリン」を見てきた。「Shall we ダンス?」で有名な周防正行監督が、フランスの名振付師ローラン・プティによるチャールズ・チャップリンを題材としたバレエを映画化。前半はドキュメンタリー的なメイキング映像で、後半はその舞台を映像におさめたものだ。
 去年もこの時期にバレエ映画を見に行ってるけど、特に格別のバレエ好きというわけでもない。ただ、コメディアン・ダンサー・映画俳優・音楽家とマルチな才能を持つチャップリンをどのように身体表現しているのか、個人的な興味があって。
 若干冗長ではあるものの、前半はひとつのドキュメンタリー作品として十分楽しめる。チャップリン役の還暦を迎えるダンサー、ルイジ・ボニーノは文句なく格好いいし、限られたリハーサルの中で作品をつくりあげていくために、マイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」と同様、不断の努力をし続けるアーティストの姿を垣間見ることができる。周防監督自らも登場し、舞台の映画化に際して老振付師と静かなバトルを繰り広げる場面は、どちらも一歩も引かない真剣勝負の立会いといった雰囲気。演者だけではなく、プロデュースする側の難しさも浮き彫りにしている。
 後半は2幕20場の作品を1幕13場に再構成したもの。元々バレエ作品であるためダンサーは一切言葉を発せず、まるで無声映画のよう。音楽と身体のみでチャップリンの世界を表現していき、名作映画へのオマージュも随所に見られる。草刈民代の美しさは言わずもがな、やはりルイジ・ボニーノの存在感は圧倒的。身体の隅々まで神経が行き届いており、所作そのものが美しい。肉体は必ず老いていくものだけど、年齡を重ねることで獲得する表現力もあるのだなと思い知らされた。
 パンフレットはA5サイズのブロマイド写真まで付いている豪華版。貴重な舞台を映像として記録するといった意味合いもあるのかもね。岡山ではシネマクレールにて6月17日まで上映中。