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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

カルメン


 先週末、久々にスクリーンオペラを見に行ってきた。今回はオリエント美術館の地下講堂。初めて入ったけど、なかなかいい雰囲気。
 前回の「オテロ」はカラヤン指揮のベルリン・フィルっていうのがウリだったけど、今回はカルメンによって翻弄されるドン・ホセ役をプラシド・ドミンゴが演じているのに興味あり。
 ビゼー作曲の音楽には聴き馴染みのあるメロディーが随所に出てくるし、アリアも有名なものが多いからオペラとしてみると比較的入りやすい。ただ、この映画、普段は劇場で上演されるのをただ映像化しました・・みたいなものではなかった。
 まず、冒頭のシーン。ゆっくりしたカメラワーク、そしてスローモーションで瀕死の雄牛が闘牛士に抗う場面が流される。まるで、その後の不吉な展開を暗示しているかのように。原作の舞台はセビリアなんだけど、今では大都会となっているため、スペイン南部アンダルシア地方のロンダという街でロケが行われている。これがとっても効果大!舞台の大道具では到底つくり得ないリアルな情景の中で、ジプシー出身のカルメンが鮮烈な印象を残していく。オペラとか歌舞伎の常で、少々場面展開がお約束的に唐突なところは否めないものの、法も無視して自由な愛を追い求めるカルメンと、逆に社会的な規範からはみ出すことができずストーカー的になっていくホセの人間模様は、現代にも十分通ずるものだ。(ストーリーと各場面のYouTube動画は、こちらのブログに詳しいのでご参考に)
 アンダルシアの眩しすぎるほどの陽光と、人間の内面に潜む暗闇とが、強烈に対比させられた映画。また、スペインに行ってみたくなったし。ただ、あまりにも色恋沙汰ばかりで日本人には内容がちょっとくどいのと、幕間なし3時間弱の長丁場には注意が必要だけど(笑)。