昔、同じ題名で写真を撮ったことがある。川面に夕日が映る中、たまたま釣り人が逆光の中にいた。同じような情景で何気なくシャッターを押す。後で見直して、我ながら驚く。これはまさしく「返照」だと。
返照(へんしょう)とは、文字通り光が照りかえすことであり、真実の自己に照らして内省するという仏語でもある。
杜甫が同じ題の七言律詩を詠んでいる。(こちらは、「はんじょう」と読む)
返照
楚王宮北 正に黄昏
白帝城西 過雨の痕
返照は江に入って石壁に翻り、
帰雲は樹を擁して山村を失う
衰年 肺を病んで唯だ枕を高くし
絶塞 時を愁えて早く門を閉ず
久しく豺虎の亂に留まる可からず
南方実に未だ招からざる魂あり
眩いばかりの照り返しの中で人は我が身を振り返る。そして、その光は自らの内面をあまねく照らし、これは白昼夢かと見紛うほどに、未来へと進むべき道を指し示すのだ。