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As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

藤田嗣治 手しごとの家

 先日、ふと目にした新書。晩年はフランスに帰化し、レオナール・フジタとなった藤田嗣治の、「画家」以外の側面を紹介した「藤田嗣治 手しごとの家」。
 第一部から順に、「住まう」「手づくりする」「集める」「写す・写される」「書く」の五部構成で、素晴らしき乳白色と評された作品の背景にあったものがわかる。明治19年生まれの日本人とは思えない卓越したセンスを持ち、それを自身の生活へ上手く取り込んでいる。そして、驚くことに主要なものはすべて手づくり。ミシンまで器用に使いこなして裁縫までしていたという。また、画家でありながら写真にも卓越した才能を示していて、本の表紙からもわかるように、被写体としても独特の姿とアングルで写真に収まっている。
 日本各地を巡回したレオナール・フジタ展の中でも、ヴィリエ=ル=バクルのアトリエが再現されていたけど、フジタの審美眼で収集されたものや、彼が自らの手でつくったものを、色々な角度から知ることができて大変興味深い。ただ画家というだけでなく、現代で言う総合芸術家だったんだなと改めて感心させられる。
 西洋文明をここまで咀嚼し、また自らその土壌を耕すことのできた明治生まれの日本人がいたことに、少々誇らしい気持ちになる。収載されている写真だけでも一見の価値ありですぞ。