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アフターダーク

 「ノルウェイの森」を読み返してから、どうもぶりがついたみたいで。現時点で村上春樹の一番最近作長編小説(といっても2004年初版)「アフターダーク」を再び読む。あえてこう書いたのは、来週の金曜日、5月29日に待望の新作が発売される。題名は、「1Q84」。
 ジョージ・オーウェルの小説を連想させるが、最近の傾向として「壁と卵」のスピーチに沿ったものじゃないかと思う。発売日がソロライブの前日だし、上下2巻あるようだから、まず一日では読了できない。「ねじまき鳥クロニクル」も3巻ゆっくり読んだから、この夏はこの本とともに過ごすことになりそう。

 その点、「アフターダーク」は2時間程度で読破できる。以前に読んだときは、ストーリーに起伏がなくイマイチ感があったけど、今の村上春樹が語る「コミットメント」がキーワードだなと思うと、なかなか深い作品。登場人物は、ある一夜に偶然出会った人ばかり。複数の話がチャンネルを切り替えるが如くに時間軸に沿って語られる。しかし、個性的な人物はそれぞれに高い壁に直面しており、壊れやすい卵みたいなもの。会話形式で断片的に語られる内容に、ある種の救いを感じる。
 その中で僕が引っかかったのは、作中のコオロギが語る「人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないのかな」という一節。(これだけだとよくわかんないと思うけど、ラストに繋がる感動的なくだり)今の自分に照らし合わせて考えると、自分の脳で処理できる以上の情報があふれたり、覚えていたくない出来事が多すぎると、かえって自分の脳に格納されている記憶が減って燃料不足になってるのかなと思う。ほんと、最近忘れっぽいしね。
 とりあえず、この本を読むことで少しは燃料補給できたかな。来週のライブに向けて、しっかり充電しないと。いい音が出せるように・・・