遅ればせながら,イベントレポートを.
先週の土曜日,もう第7回目となった,「日本の音遊び・・・」というイベントに行ってきた.ナビゲーターはおなじみ,尺八の田辺洌山さん.今回は,長唄三味線の穂積大志さんを迎えて,邦楽をもっと知り楽しもうという趣向.
日本人でありながら,正直,長唄三味線というものがどういうものかは知らなかった,穂積さんの解説を聞くと,簡単に言えば歌舞伎のお囃子.本来は,三味線担当と長唄担当は専門職としてきっぱり別れているけど,今回に限り,まるでフォークシンガーのように,三味線を弾きながらの長唄も披露してくれた.
自分的に興味深かったのは三味線のチューニング.本調子というのは,C,F,C(ド,ファ,ド).二上がりはC, G, C(ド,ソ,ド)で,3本の弦(三味線では糸という)を不均等に調弦する.そして,最も汎用される「三下がり」というのはC,F,B♭(ド,ファ,シ♭).これは,完全IV度の積み上げで,3本を単にかき鳴らすと,調性のない響きになる.
この「三下がり」チューニングが我々の心に殊更マッチするらしく,時代劇などで馴染み深いメロディーはだいたいこれで作られているそうだ.
たった3本の弦で日本人の心を揺さぶる響きをつくる.シンプルでありながら,とてつもなく奥が深い.12音階の西洋音楽にどっぷり浸かっている身には,ある意味新鮮な体験だった.