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As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

明日の神話

 郡山滞在時間は約20時間ほど(睡眠時間を含む)で本当にどこにも行っててないんだけど、今回行きがけにどうしても立ち寄りたいところがありました。それは・・・

 渋谷に恒久設置された岡本太郎の壁画「明日への神話」です。縦5.5m、横30mの巨大なもので、第五福竜丸被爆した際の、原子爆弾炸裂の瞬間をテーマにしています。元々はメキシコに建設予定だったホテルに飾るために制作されましたが、ホテルは結局未完成のままで壁画も行方不明に。2003年にメキシコシティーの郊外で偶然発見され、修復された後に今回渋谷駅に安住することになりました。
 実際にこの目で見てみると、でかい!色遣いといい、かなりのインパクトがある。JR渋谷駅と京王井の頭線をつなぐコンコースだから、元来広々とした空間であるにもかかわらず、ものすごい存在感。有名なピカソゲルニカでさえ、3.5×7.7mの大きさ。

 また、ゲルニカはモノクロの色彩で構成されているけど、こちらは強烈な色彩がふんだんに散りばめられており、

 原爆という重いテーマでありながら、岡本太郎の持つ生へのエネルギーで、プラスの方向へと人を導きます。奥様の岡本敏子さんが、この壁画のことをこのように紹介してます。

(前略)
外に向かって激しく放射する構図。強烈な原色。
画面全体が哄笑している。悲劇に負けていない。
あの凶々しい破壊の力が炸裂した瞬間に、
それと拮抗する激しさ、力強さで人間の誇り、純粋な憤りが燃えあがる。
タイトル『明日の神話』は象徴的だ。
その瞬間は、死と、破壊と、不毛だけをまき散らしたのではない。
残酷な悲劇を内包しながら、その瞬間、
誇らかに『明日の神話』が生まれるのだ。
岡本太郎はそう信じた。この絵は彼の痛切なメッセージだ。
絵でなければ表現できない、伝えられない、純一・透明な叫びだ。
この純粋さ。リリカルと言いたいほど切々と激しい。
二十一世紀は行方の見えない不安定な時代だ。
テロ、報復、果てしない殺戮、核拡散、ウィルスは不気味にひろがり、
地球は回復不能な破滅の道につき進んでいるように見える。
こういう時代に、この絵が発するメッセージは強く、鋭い。
負けないぞ。絵全体が高らかに哄笑し、誇り高く炸裂している。

 決して悲しみや怒りの絵ではなく、生きる希望が内包されている、まさに「明日への神話」です。東京方面に行かれるチャンスがあれば、是非渋谷駅へ立ち寄って見てみてください。その迫力に圧倒されるはずですから!