音楽プロデューサーのTKが逮捕された。名前が一緒(字は違う)なので少しだけ親近感があった。僕らの世代は小林克也の「Best Hit USA」やピーター・バラカンの「Poppers MTV」に代表されるように、洋楽志向が強かった。というか、邦楽と言えば歌謡曲かフォーク系のニュー・ミュージックしかなくて、ノリのいいビートの曲は当時の日本には少なかった。
TKの曲がことさら好きだったわけではないけど、'95〜'96年に安室奈美恵へ提供した楽曲は、邦楽の水準をはるかに超えていた。『Body Feels EXIT』『Chase the Chance』などの縦ノリの16ビートを経て、『Don't wanna cry』『You're my sunshine』『a walk in the park』などの、よりブラックミュージックに近いシャッフル系リズムの曲を、敢えて安室に歌わせた。
安室の初期全盛期とリンクしたこともあってミリオンセラーとなり、こういったアダルト・コンテンポラリー的なグルーブ感のある楽曲が市民権を得られた功績は大きいと思う。
そして、ブラックミュージックと日本人好みのメロディーがうまく混ざり合った名曲『Can you celebrate?』が生まれた。タターンタ、タターンタというシンコペーションを多用したリズム、歌えるぎりぎりの高さのハイトーンボイス、サビの部分は覚えやすいフレーズを使って、ゆったりとした大きなリズムに乗せて聴かせる。後に結婚式の定番曲となったのも頷ける。
『celebrate』には、お祭り騒ぎをするという意味もある。まだTKにとって全ての祝祭が終わったわけじゃない。一連の事が片付いたら、作詞・作曲家として、もう一度新たな音楽シーンの扉を開いて欲しいと思う。同じようなことを自分にも言い聞かせてる。音楽する気持ちを忘れたらおしまいだって・・・