3月も残り二日。もう一つ旅レポを。
降り立ったのは、長野県東部に位置する小諸駅。西日本に住んでると、北関東から甲信越地域ってどうも馴染みがない。逆に言えば、日本の中でもまだまだ見知らぬところが沢山あるわけで、最近はこういうところを好んで訪ねてる。駅南にある小諸城址(真田幸村親子が守る上田城を攻めるため、徳川秀忠が本陣を置いたところ)を抜けて、きつい坂をどんどん下っていくと・・
趣のある茅葺屋根の建物が見えてきた。ここは、明治時代の小説家:島崎藤村が英語教師として勤めていた小諸義塾の塾長:木村熊二の書斎で「水明楼」という。で、その先を更に下ると・・
今宵のお宿「中棚荘」に到着。創業明治31年の老舗旅館で、かつては「中棚鉱泉」と呼ばれており、島崎藤村も歌に詠んでいるところ。ということで、「島崎藤村ゆかりの宿」らしい。
ロビーには島崎藤村の肖像画とともに沢山の書籍が並べられ、レトロな雰囲気。
お茶菓子をいただいた後に、部屋へ案内された。
和室って、少し薄暗いくらいが丁度いいよね。障子を開けると、千曲川ほとりの集落を見渡せる。落ち着いた雰囲気で安らぐなあ。
いつものように、夕食前に温泉へ。ここから、石畳の階段を昇っていく。
「まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり」
(島崎藤村『若菜集』より「初恋」)
この「初恋」にちなんで、10月〜5月頃まで湯船に林檎を浮かべる「初恋りんご風呂」をやってる。
そう、中棚荘を選んだ理由の一つが、この「りんご風呂」。写真ではなかなか伝えづらいけど、まず温泉に入ったときに爽やかな林檎の香りに包まれる。そして、プカプカ浮かんだ林檎が源泉から注がれる湯に流されて、湯船の中をあっちに行ったりこっちに来たり。林檎が動くたびに、甘酸っぱい香りがまた漂うという、なかなか新鮮な体験。お風呂用おもちゃで遊ぶ子供のように、林檎をつついて楽しんでしまった(^^)。もちろん温泉自体の泉質も良好で「美肌の湯」だそうな。
湯上がりにビールを一気飲みした後に、地酒とともに夕食を。内容は割愛するけど、どれも美味。その中で、夕食開始とともに火を入れて、僕専用の釜で炊きあがったご飯をアップ。
他のおかずは全てこの炊き込みご飯のためだったの?というくらい美味しかったね(^^)。
一晩ぐっすり休んだ後、朝早くに再び温泉へ。
夜のうちに、少し雪が降ったようで、周りの景色もなかなか風情がある。
内湯の隣は開放的な露天風呂。身体は温まりながら、ヒンヤリとした風に吹かれているのが気持ちいい。
朝食も美味しくてお腹一杯食べたかったんだけど、理由あって少々セーブ(笑)。
中庭を散策した後に、急いで荷造りをし・・
山羊に見送られながら(笑)
中棚荘を後にしたのでした〜(^^)。