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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

自分のルーツ  

 本日、恩師岡山大学第二外科、T名誉教授の葬儀に参列してきた。今でこそ、外科医でございます・・といった殊勝な顔をしているけど、大学の授業にもろくろく出ず、音楽も含め学内外の課外活動に明け暮れていた医学生時代の僕には最も縁遠い診療科だった。卒業間近、自分の将来像もなかなか描ききれない中、臨床実習で出会ったT教授の朴訥な姿に惹かれた。海軍兵学校出身のT教授は、自らを恥ずかしながら先の戦争の生き残りと称しつつ、医師たるもの、人の命を守るためにひとえに患者さんのために尽くすべしと教えてくれた。ああ、この人にこそ外科医のイロハから教えてもらいたい、門下生の一人に加えてもらいたいと思い、教室の門を叩いた。医師免許をもらった後、同期生一同を前にした最初の講義でT教授は語ってくれた。
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 全部で20の教えがあるんだけど、T教授独特の柔らかい語り口で伝えられたメッセージを、当時の僕は訳もわからず必死にメモった。外科医は手術さえできればいいんだなんて言われたことは一度もない。その前に、まず医師とはこうあるべき、患者さんの人生を全て引き受ける覚悟が必要だし、そのために絶えず勉強して向上し続けていかないといけない。また、海軍兵学校仕込みというか、常に組織の一員としての心構えが必要だとも。
 その後、医療の現場に出て行くようになって、ああ、そういうことだったのか、自分にはまだまだできてない・・と反省することばかり。でも、このメモを事あるごとに読み返し、今も自分自身が生きていく上での道標としている。
 T教授の遺影を前にし、自然にありがとうございました・・と呟いていた。あなたこそ、自分のルーツとも言えるべき存在です・・と。恐らく、僕に限らず参列者の誰もがそう思っていたに違いない。
 合掌。