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ボストン美術館浮世絵名品展「北斎」@上野の森美術館  

 会期終了間際の展覧会をもうひとつ(笑)。上野の森美術館で開催されている、ボストン美術館浮世絵名品展「北斎」。
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 日本の浮世絵は海外で高く評価されており、特にボストン美術館の収蔵品は保存状態もよく秀逸。この門外不出のコレクションから葛飾北斎の作品を一挙に公開したもの。写楽は比較的短期間に活躍したけど、北斎は息の長い絵師。まだ、駆け出し時代の作品から、円熟期〜晩年に至るまでの作品群を時間軸に沿って見ることが出来た。初期の頃には西洋絵画で見られる遠近法を用いて描いており、その技術が後の風景画にも生かされている。
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 有名な富嶽三十六景シリーズも全て揃っていて、様々な場所から異なる構図で富士山が描かれているのに驚く。有名な「神奈川沖浪裏(Big Wave)」も、つい目前の大波に目が行くけど、今にも飲み込まれそうに漂う小舟が絶妙なアクセントを加えている。北斎はこの作品で瞬間的な水の動きを捉えることに成功し、後に諸国瀧巡りという連作に繋がっていく。
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 「木曽路ノ奥阿弥陀ヶ滝」では、Big Waveとは異なる手法で滝壺へと流れ込む水が描かれている。傍らには、名瀑布を眺めながら美味しそうに弁当を食べる庶民の姿があり、何とも微笑ましい。こういう市井の人々に対する暖かい眼差しも北斎ならでは。
 他にも興味深い作品は多数あり、質・量ともに満足のいく展覧会だった。僕的には、チョ~オススメ!(笑)そして最後に展示されていた作品がこちら。
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 北斎の愛娘、葛飾応為の「三曲合奏図」。浮世絵でありながら、この構図と色彩美。江戸時代にこれだけのクオリティーで美人画が描かれていることに正直驚いた。こういう伝統の元に日本の美意識が形作られているんだなって、ちょっと誇らしくもなったしね。