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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

父と子  


 市川團十郎が逝ってしまった。中村勘三郎に続き、かけがえの無い人を失った。ただ、團十郎にせよ、勘三郎にせよ、本人自身としてはそんなに悔いはないのでは?めいっぱいの仕事をして、自分にできるだけのことを成し遂げてきたわけだから。何か心配事があったとしたなら、それは後に続くべき人のことだろう。
 今年に入ってはまっているドラマがある。TBS系の日曜ドラマ「とんび」。原作は岡山出身の重松清さんによるもので、昭和の時代に必死に生き抜いていく父と子の物語だ。この場で内容は詳しく書かないけど、はっきり言って泣ける。一話毎の結末はある程度予想がつくものの、思わず涙ぐんでいる自分に気づく。時代設定など、共感出来る部分が多いというだけでは説明のつかない、あの時代を生きた誰もが共有しているストーリーがそこにはある。
 僕自身の境遇を考えれば(よく誤解されるんだけど・・)、梨園の世界などとはかけ離れた「とんび」的な生き方だった。だけど、尊敬する人は?と尋ねられて、どんな偉人賢人よりも、いつも「お父さん」と答えていた。それは、今も変わってはいない。
 大名跡を背負った勘九郎海老蔵も大きなプレッシャーを感じているに違いない。だけど、一生をかけるべき目標の先に、この世を去った実の父を見いだせるのは幸せなことではないだろうか。少なくとも僕はそう思う。
 次回の「とんび」からは、いよいよ佐藤健が登場する。どんな物語が展開されるのだろうかと期待しつつ、涙腺が妙に弱くなった自分を恥ずかしくも感じながら鑑賞するつもりだ。