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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

東日本大震災から一年  

 未曾有の大災害となった東日本大震災から今日で一年。地震が発生した午後2時46分には、多くの人が黙祷を捧げたことと思う。犠牲者の方々には改めてご冥福をお祈りします。

 震災時には、その映像の生々しさや人命救助を優先させたことであまり明らかにされなかった被災地の状況が、一昨日あたりから徐々に報道され始めた。それらを興味本意で見るのではなく、如何に深刻な状況であったか、その中で被災者たちがどのような苦しみや辛さを味わいながら生き延びてきたか、こうやってきちんと見返すことが、被災していない我々にも必要なことだと思う。きっと、日本人として心の琴線に触れる部分があるはずだから。
 わずかな期間ではあったけど被災地の医療支援に赴いた僕の中にも、その時に感じた虚無感と無力感が一年間通奏低音のように流れ続けていた。あまりにもひどい状況(上の写真は東松島矢本地区で撮影)を目の当たりにしつつ、軽々しく口にはできない、それよりも何よりも今自分にできることをやらなきゃいけない。こんなことくらいしかできないんだ・・と思いつつ、でも被災地のことを思い、少しでも何かできることをと。
 そんな葛藤を抱えながら、一年間やってきた。ただ、失ったものばかりではく、得たものもあった。下の写真はあの時に避難所で貰ったおにぎり。津波で流されたお米を丁寧に洗って、家財道具がほとんど流された状況の中で被災者が炊いてくれたもの。「海水に浸かったから、ちょっとしょっぱいけどな」と笑いながら言われてたけど、いただいたおにぎりは本当に美味しかった。

 あの味を僕は一生忘れることはないと思う。どんな状況の中にあっても、自分にできることをする、前向きな希望を失わない、それがあの震災で僕が学んだこと。そして、忘れずに語り継いでいくこと。いいことも悪いことも。未来は必ずやってくる、そう信じて。