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As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

猫町〜萩原朔太郎

 先日、丸善でたまたま見つけた本。もちろん内容も大事だけど、本の装丁ってすごく重要。同じような意味で、昔は「ジャケ買い」なる、レコードジャケットだけ見て、ピンと来たものを買うなんてのもありだった。本屋の場合は、装丁に惹かれて立ち読み、こりゃあおもしろそう!ってことになったらレジへ・・・っていう風習が未だに残ってる。

 これは、萩原朔太郎の小説「猫町」を、版画家の金井田英津子さんが挿絵を描き、本全体をデザインして絵本にしたもの。パロル舎っていう出版社から出されている。
 萩原朔太郎というと大正〜昭和にかけての詩人で、こういう小説スタイルの文章を読んだのは初めてだった。言葉を凝縮して語る詩人らしく、文章は簡潔でいて幻想的。読み進めると、いつのまにか朔太郎ワールドに引きずり込まれる。

 この文章に、絶妙な挿絵がからみ、ページをめくる毎に期待感をあおるようなデザイン。文章と絵とのコラボレーションが、昭和初期と平成という時空を超えて成立している作品だ。
 読み終わると、どこか異次元空間を旅してきたような気持ちになる。本屋か図書館で見かけたら、立ち読みしてみてはいかが?