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As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

レヴィ=ストロースの庭

 構造主義の先駆けである、フランスの社会人類学者:クロード・レヴィ=ストロースが、昨年11月28日に100歳の誕生日を迎えた。そのお祝いというわけでもないだろうが、レヴィ=ストロースへのオマージュとも言える本が出版された。
 パリ郊外にある教授の別荘でのインタビューから始まり、ブルゴーニュの森を出発点として神話世界を彷彿とさせる世界各地の写真が散りばめられている。森は元来人間を寄せ付けない神秘的な場所であったが、人間が火を携えて森に入ることで、自然が文化へと変化する空間となる。神話の舞台であったアマゾン川流域も、原生林がただ生い茂っていたのではなく、先住民が農耕をした後に育ったものらしい。
 南ドイツのシュバルツバルト(黒い森)も、植林されたモミの木だったわけだが、今では全くの自然な風景となっている。人間が自然に手をかけ、文明化する。単なる自然のいたずらと思えるものが、実は人間と自然との絶妙なコラボレーションによるものだったとは。
 個人的に気に入ったのは、第二章の「写真と音階」。どちらかというと、著者の視点で展開されており、なかなか興味深い。
 今さら分厚い原著は読めないけど、ちょっといい話的な文章が、神話の世界に誘ってくれる。週末、コーヒーを飲みながら、モノクロームの写真を眺めるのも一興ですよ。