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As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

人馬一体

 昨日のNHK番組「プロフェッショナル〜仕事の流儀」、騎手の武豊を追ったものだった。若くしてデビューし国内のレースでは連戦連勝、前人未踏のJRA3100勝という輝かしい戦歴を持ち、天才とはこういう人のことを言うんだと思っていた。しかし、放送で映し出されたのは、目標に向かって懸命に努力しつつ、思い通りの結果が得られないことに苦しむ姿だった。
 F1パイロットと同じく、騎手も自分の力だけで勝てるわけじゃない。如何にドライビングが上手くても車の性能がよくなければレースに勝てないのと同様、いい馬に巡り合わなければ満足のいくレースにはならない。とはいうものの、誰もがいい馬に乗れるはずもなく、そこには様々な駆け引きや人間関係が影響するだろうと容易に想像される。
 パリ、ロンシャン競馬場で行われる世界最高峰レース:凱旋門賞へ出場し、日本人騎手、日本の馬という取り合わせで挑戦するのは、出場者、観客、全てがアウェーの環境で勝負するようなものだ。それでも勝利を目指して海外の小さなレースにでも出場する、そんなたゆまぬ努力を続けていたとは・・
 自分仕様の馬具を見せながら、「これだけで馬を操ることができるんですか?」との茂木健一郎の問いに、「人馬一体というか、馬に乗りながら自分自身が地面を蹴っているような感覚を持つことがあります」と答えた。その表情は、穏やかではあるものの、まだ手に入らない遠くの獲物をじっと見据えているように思えた。