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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

若者たちの神々

 最近、TKをはじめ、同名の人が話題になることが多い。先週末、OJF打ち上げの最中に筑紫哲哉さんの訃報を聞いた。肺がんであることを好評して闘病しているとは聞いていたが、俳優の緒方拳さんと同様に潔い生き方ならぬ逝き方なんだろうなと思う。
 今、筑紫さんと言えばTBSの「NEWS 23」のメインキャスターということになるんだろうけど、僕にとっては朝日ジャーナルの編集長だった筑紫さんが印象深い。「NEWS 23」の一コーナーとして有名になった「多事争論」も、朝日ジャーナルのコラムが出発点だったと記憶している。もともとは福沢諭吉の言葉で、『違う意見を持つ者が議論する事がなにより大切であると言う事』という意味であることを、誌面上で筑紫さんが書いていた。これは、活動拠点をテレビに移してからもなお、筑紫さんの信条でもあったのだろう。自分を振り返れば、ともすれば『問答無用』になりがちな傾向を戒める言葉になっている。
 この頃の出版物で忘れられないのは、対論集「若者たちの神々」だ。朝日ジャーナルの連載として始まった企画で、筑紫さんが当時の「新世代」を代表する人たちとサシで話をする形式。

 再び本棚から引っ張り出して読んでみると、24年前のものとは思えないくらいに時代を先取りしている内容に驚いた。1960〜70年代を経て、様々な思想・信条から解放された「神々」たちの言葉に圧倒される。まだバブルには至っておらず、世界もグローバル化していなかった時代。その中で、これだけ広い視野を持ち、個人の力で道を切り開いていった人がいたのかと改めて考えさせられる。そして、世代が異なるにもかかわらず、その「神々」たちをその気にさせ、対決心をあおる筑紫さんの立ち位置は全くブレていない。その安心感があるからこそ、現代でも十分読み応えのある内容なのだろう。

 自らの確固たる信念を持ちながら、違う意見を持つ人に耳を傾ける。やさしい声で筑紫さんに語りかけられているように感じた。合掌。