tetsuyaota.net

the article is randomly updated

Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

過ぎゆくもの

 東京の歌舞伎座が建て替えられる。平成22年4月から着工するそうだ。初めて歌舞伎を見たのは社会人になり立てのころ。仮名手本忠臣蔵の立見席だった。まだ市川染五郎と呼ばれていた松本幸四郎が、大石内蔵助を演じていたのを覚えている。

 日本人はスクラップ&ビルドが好きだ。今の歌舞伎座は昭和25年建築のもの。桃山様式のクラシックな外観で、東銀座の風景には当然の如く溶け込んでいる。建物が老朽化したからというが、ヨーロッパなどでは、100年以上経過した建築物が沢山ある。映画「アマデウス」でロケされて、モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」が初演されたプラハのスタヴォフスケー劇場は1783年建築。どうして、改修工事を行って、次代に残していかないものかと思う。

 もう一つ、今年限りでなくなる建物がある。東京丸の内パレスホテル。先だっての学会が大手町であったので、昼休憩に丸の内界隈を散歩していて偶然に知った。この老舗ホテルに泊まったことはないけれど、昭和を代表する建物の一つだと思う。

 ロビーでは回顧展が行われており、数々のディナーショーのポスターが掲示されていた。

 ホテルに連続したオフィス棟の一角に、「Exchange」というサンドウィッチハウスがあった。窓際のカウンターに座ると皇居のお堀が見える。

 ウェイトレスに問うと、パレスホテルと同じタイミングで閉鎖されるという。

 あと3か月ほどでなくなってしまうことが微塵も感じられないような店内の雰囲気。

 ターキーサンドウィッチをほおばりながら、せめて自分の記憶には留めておこうと思った。