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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

何かを欲すること

 先週末から引き続いて,ずーっと忙しく,あっという間に時間が流れていってます.2月って昔はもう少しのんびりしてたんじゃないかなあ?って思いますけど,今の時代はそういう季節感ってなくなってるんでしょうね.
 こういう時だからこそ,忙中閑ありで暇を見つけては読書をしてます.で,最近考えているテーマは「欲望」なんですね.
 これだけ物質的に豊かになってきて,なおかつ情報が氾濫していると,何かを我慢してストイックに生きるよりは,あくなき「欲望」を持ってどこまでも頑張るっていうやり方が,今の時代を乗りきるのに合っているように思います.逆に言うと,「欲望」がなくなった時点で終わってしまう,だから一つの「欲望」が満たされても,どんどん次の「欲望」を再生産しなければならない連鎖に陥っているようにも思います.
 以前にも書きましたが,僕は作家の村上春樹さんのファンなんですね.初期三部作の頃のテーマは「失うこと」であり,人は生きているだけで様々なものを失っていく,それは避けては通れないものなんだというのが春樹さんの小説の中に通奏低音のように流れていました.
 それに対してもう一つの村上さん,すなわち村上龍さんは,故郷の佐世保を例にとり,「米軍基地の街では欲望こそが全てだった」みたいなことを色々なところで書いてます.僕は,龍さんの力のこもった作品もすごく好きで,元気がない時には結構読んでます.
 今回,「欲望」に関連して読んだのは,

欲望する脳 (集英社新書 418G)

欲望する脳 (集英社新書 418G)

 茂木健一郎さんの「欲望する脳」(集英社新書)と
案外、買い物好き

案外、買い物好き

 村上龍さんの「案外,買い物好き」(幻冬舎)の2冊です.
 茂木さんの方は脳科学を基礎に哲学的な思考を展開する,若干難解な内容ですが,「欲望することが人の定め」というところから出発しています.村上龍さんの本は,とにかく好きなものを買って買って買いまくったということを,具体的なエピソードとして列挙しています.
 一見,内容的にはずいぶんかけ離れているようですが,両者に共通していることは自分の「欲望」を,それが精神的・物質的なものに関わらず,まず肯定し,それを別な視点から客観的に評価しているということです.
 現代においては,欲望するのは当たり前のことですが,限りなく欲望し続けることは非常に難しいと思います.枯れること亡く欲望し続ける意欲と,そういう欲望している自分に真正面から向き合うことが大事なんですよね.今の自分にどれだけの「欲望」があるか,真面目に振り返ってみるのもいいかなと思いました.