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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

はじめてのお迎え(山下洋輔編)

 ジャズmeetsアートの方は準備も万端となり,後は今宵の主役お二人をお迎えに行くという大役が待っておりました.何をかくそう,過去5回OJFイベントをやっていながら,僕はミュージシャンのお迎えをしたことがなかったのです.企画立案,そして街頭イベントを中心に担当していたのがその理由なんですが,今回は他の実行委員の方々には皆きちんとした仕事があって,現場を離れてお迎えに行くことができるのは,実行委員長の僕と副委員長のOKMTさんだけだったんですね.
 OKMTさんは元々ジャズフォーラム岡山という団体で,ジャズコンサートを自主企画開催していたのもあって,こういう経験は豊富なんですよ.しかし,僕は本当に「はじめてのおつかい」ならぬ「はじめてのお迎え」で,おでこに初心者マークでもつけて行きたいような気分でした.
 だいたい,初対面の人には無愛想で,気の利いた話のひとつもできない僕にお迎えなんかできるの?と不安を感じつつ,まずは山下洋輔さんとマネージャーさんを岡山駅へお出迎えに行きました.OKMTさんは既に到着しており,電話をすると「あー,地下街の本屋で時間をつぶしとりますー」という,余裕綽々の声であります.
 僕の方は,入場券を買い,自動改札を通過したところで今か今かとそわそわしておりました.早くホームに上がろうとすると,現れたOKMTさんは「まだまだくりゃーせんから!ホームに上がると暑いから,もうちょっとしてから行きましょうや」と,のたまわれました.「この暑いのにスーツを着てるからでしょ,僕みたいにTシャツ着ないと」などと軽口をたたきながら,10分ほど小休止してホームへ行くと,新幹線「のぞみ」がするするとホームへ入ってきました.やばい!ぎりぎりだ!とあせっていたら,実は1本前の「のぞみ」であったことがわかり,幾分ほっとしました.
 OKMTさん曰く,「こうやってミュージシャンを待っている時間がたまらんのよなあ.新幹線から降りてくる瞬間まで,本当に来てくれるんかなあという不安感があるんだけど,ドアが開いて出てくる姿を見ると,すんごい嬉しくなるんよ.」緊張していた僕は話半分に聞いていましたが,実際に山下洋輔さんが新幹線から出てこられたときには,すんごく嬉しかったです!わー,山下洋輔だ!!と,成田空港でヨン様を待ち受けるミーハーおばさんのようになってしまいました(笑).
 しかし,そんな僕を尻目に百戦錬磨のOKMTさんは,山下洋輔さんの元にすーっとかけより,「せんせ,お荷物をお持ち致します」と,まるで必殺仕事人のような手際のよさで山下さんのキャスター付きのスーツケースを受け取りました.慌てた僕も,「あ,あ,あ,ぼ,ぼくもて・・手荷物をお預かりいたします」と何とか口にして,黒いバッグを受け取ったのですが,うわー!これが重かったんですぅ.スーツケースの方が全然軽くて,それはないよー(ダチョウ倶楽部ふう)って感じでした(笑).
 駐車場まで案内して,山下さんとマネージャーさんを僕の車にお乗せしました.道中,どんなBGMをかけたらいいだろう?ピアニストにピアノトリオもなあ..かといって管楽器主体だとやかましいかもなあ..と悩んで,結局僕がチョイスしたのはハービー・ハンコックの「GERSHWIN'S WORLD」です.

 山下さんはジョージ・ガーシュインの曲をソロやオーケストラなどで演奏されていましたから,ハービー・ハンコックガーシュインを演奏しているのは,ちょっといいかも?と考えたわけです.
 しかーし,山下さんは車に乗るなり,いきなり両耳にイヤホンをつけられたんですよ!!いかん!これはBGMなんかはいらないという意思表示なのではないだろうか!!あせった僕は,すぐにカーステレオの音量を絞り車内は無音の状態で,マネージャーさんと今回のイベントについて会話をしてました.そしたら,イヤホンをしたままの山下さんが,いきなり「それはねー,きっとそうなんだよ.ワッハッハー」と会話に絡んでくるんですよね.
 僕は青ざめました..イヤホンして音楽聴いてたんじゃなかったの??山下さぁん,どうして?どうして?おせーて!(カトちゃんふう)混乱した僕は,何とか会話をつなぎながらホテルへお二方を送り届けました.
 トランクを開けて荷物を出そうとすると,またそこには必殺仕事人のOKMTさんが待ちかまえており,「ささ,せんせ,お荷物をどうぞ」とまた先手をとられてしまいました(トホホ).お二方は無事にチェックインを済まされましたが,一仕事終えたという安堵感よりも,言い様の知れぬ疲労感を僕は感じておりました.この次は山本容子さんのお迎えだ...いったいどうしたらいいだろう??やはり僕ではダメなのか??全くイベントとは関係ないところで,茫然自失状態でありました...(続く)