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Oui! Friends..

As you know, "Pianist/Composer/Surgeon"

米沢での出会い

 今日は一日山形県は米沢での仕事でした.3月とはいえ,あたり一面は銀世界で米沢駅に着いた時には雪が舞っていました.今回はあくまで仕事で来たのですが,自分にとっては色々なことを考えるよい機会になりました.

 今日,こちらのT先生と昼に話をしていて印象に残ったことがあります.山形では,雪が積もってその除雪作業をすることで地域経済が潤うそうです.雪が降って交通が麻痺する,生活に支障をきたす,そのこと自体はマイナスなことです.しかし,人はマイナスなことをいくぶんプラスにするだけできっちりと生活をしていけるんですね.困ったことが改善されれば,それだけでちゃんと生活していける.本来,人間の営みとはそういうものだったのではないかと思います.

 これは逆に考えると,もっと困ったこと,すなわち最悪の状況をきちんと理解できているということです,今の時代,よりプラスになることを求めて皆苦闘してます.欲望のまま,もっともっとという気持ちになります.しかし,実際問題世の中には自分にとってそんなにプラスなことがあふれているわけではありません.最高のものを求めてはいるものの,実は最悪の事態を全く想定していないのが現代ではないかと思います.現実に想定外の最悪な事態が起きた場合,人はうろたえます.結局,プラス思考の落とし穴というのはこういうことなのかなと思いました.本当は,もっと具体的なことに関して,かなりの時間話をしたのですがこの場では全部語り尽くせません.もう少し自分が成長したら,より具体的なアプローチに関して書くことができるのではないかとも思います.

 もうひとつ,ご期待の米沢牛に関して書いておきます.有名な米沢牛とは,そう呼ぶことができるのは米沢及びその近辺で育った牛のことだけだそうです.これは,たとえアメリカで生まれた牛であっても米沢で育ったのなら米沢牛であり,逆に米沢で生まれた血統書付きの牛であっても,それが別な地域で育ったものであれば米沢牛と呼ぶことはできないそうです.
 普通に考えると,どういう形にせよ米沢で生まれた牛だけを米沢牛と呼ぶと決めた方が簡単だと思います.しかし,この米沢という特殊な環境下で育まれたものこそが米沢牛なのだいう考え方はすごくフェアであると思います.生まれや育ちに関係なく,その土地で育ったものはすべからく米沢牛である,そしてそれを米沢の人たちは誇りに思っている,一見排他的に見える雪国の街の中で,そういう考え方が生き続けていることに随分勇気づけられます.
今日,いただいた米沢牛のすき焼きは,とろけるような味でした.

 都会の論理には負けないようなアイデアが普通な顔をして存在している,そしてそういうことをシャイな東北の人達に大いに教わった一日でした.